日韓新時代フォーラム2022年4月月例会
■日時:2022年 4月 25日(月) 19:00-20:20
■開催方法:Zoomミーティングによるオンライン開催
■プログラム:
基調講演:「北朝鮮問題と日韓関係」
司 会:鄭 起永(釜山外国語大学前総長/日本語創意融合学部教授) 講 演:辛 貞和(東西大学日本研究センター所長/キャンパスアジア学科教授)
指定討論:玄 大松(韓国海洋水産開発院グローバル海洋アカデミー学長)
韓日新時代フォーラム 4月月例会
辛 貞和(東西大学日本研究センター所長/キャンパスアジア学科教授)「北朝鮮問題と日韓関係」
4月25日(月)、韓日新時代フォーラム4月月例会が開催され、東西大学日本研究センター所長でキャンパスアジア学科の辛貞和教授のオンライン基調講演「北朝鮮問題と韓日関係」が行われた。
まず、対北朝鮮政策において韓国と日本はお互いに不信感を抱いているが、同時に共通点もあるとした。相次ぐ北朝鮮の核・ミサイル実験は両国の安全保障上の脅威であり、さらに北東アジア全体の平和と安定を揺るがすものであると述べた。また、北朝鮮の非核化条件や、対話が行われている時に北朝鮮への脅威認識が減少するなどの点も、両国が共通していると指摘した。 次に、朝鮮半島の平和を消極的平和と積極的平和に分けて言及しながら、朝鮮半島の平和体制(Peace Regime)について説明した。すなわち、北朝鮮が非核化を進めれば、朝鮮半島の冷戦構造は解体され、さらに北東アジアの平和秩序を樹立できるとした。そして、この北東アジアの新たな平和秩序こそが、21世紀型の新たな秩序であると述べた。 続けて、核・ミサイルといった攻撃性の問題(軍事的リスク)と、経済・食糧・体制維持といった脆弱性の問題(政治的リスク)という北朝鮮問題の二重性を指摘し、これは消極的平和の性格が強く、積極的平和に進むための前提条件であると語った。また、北朝鮮問題を巡る周辺国のそれぞれの立場の違いにも言及しつつ、特に、韓国は朝鮮半島問題の当事者として政治的・軍事的リスクの両者を管理しようという立場であるが、日本は軍事的脅威と拉致問題などの独自の懸案から、北朝鮮を実存的脅威の対象として認識していると分析した。 そして、3度にわたる北朝鮮による核危機について説明した。第1次(1993年)は米朝基本合意書、第2次(2002年)は6者会談、第3次(2017年)は南北首脳会談、米朝首脳会談がそれぞれ行われ、当時の日本、韓国、北朝鮮の2国間、また3国間の関係が変化していった経緯について振り返った。北朝鮮の脅威の程度、主要懸案、北朝鮮問題解決の優先順位、解決策など、韓国と日本の間には北朝鮮問題における様々な相違点が存在することを明らかにした。 最後に、朝鮮半島の平和体制のない北朝鮮の非核化は不可能で、北東アジアの平和体制のない朝鮮半島の平和体制も不可能であると述べた。そして、日韓の協力のためには、①北朝鮮問題に対する日韓の異なる立場を理解し、②それぞれの対北朝鮮懸案に対する協議と協力を行い、③韓国の平面図的アプローチと日本の鳥瞰図的アプローチを相互補完し、④韓国・北朝鮮・日本の3国間関係の好循環構造を導き出すことが必要であるとし、講演を終えた。
講演後は、現在までの国際情勢の流れを踏まえた上で北朝鮮が核を放棄し得るのか、保守政権である尹錫悦政権下において北朝鮮問題での日韓協力に進展は望めるのかといった点について、議論がなされた。